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通信費とは?仕訳や勘定科目の悩みを仕訳付きで解決!【税理士監修】

「通信費の勘定科目について詳しく知りたい!経費に計上するタイミングは?荷造運賃とのちがいは?」といった悩みをお持ちではないでしょうか?

通信費は荷造運賃や租税公課など間違って仕訳しやすい勘定科目ですが、基本を理解すれば大丈夫です!

この記事はこんな人におすすめ!
  • 通信費とは何か?を知りたい人
  • 通信費に該当する支出を知りたい人
  • 荷造運賃との違いを知りたい人
  • 経費に計上するタイミングを知りたい人

今回は法人でも個人でも発生する「通信費」について詳しく解説していきます。

この記事を読めば通信費の知識を全て理解できるようにまとめました。

参考となる仕訳事例11個載せているので参考にしてみてください!

通信費とは?

「通信費」とは、事業のために使われた電話料金や郵便代金に使われる勘定科目です。

損益計算書では「販売費及び一般管理費」の一つで、国際電話や国際郵便をを除き消費税の課税区分は「課税」取引となります。

それでは「通信費」に該当する支出にどのようなものがあるか確認していきましょう。

  • インターネット関連費
  • エアメール
  • ADSL利用料
  • 書留料金
  • 切手
  • 携帯電話
  • ケーブルTV加入金
  • 航空郵便
  • 国際宅配便
  • 国際郵便
  • 小包料金
  • サーバー使用料
  • スカイプ使用料
  • 速達料金
  • 宅配便(書類など)
  • 電報料金
  • 電話
  • ドメイン使用料
  • 内容証明
  • はがき
  • 光ファイバー使用料
  • ファックス
  • プロバイダー費用
  • メール便
  • ゆうパック
  • 郵便切手
  • 郵便料金
  • 料金別納郵便
  • wifi料金

上のとおりでして、通信費は郵便にかかる費用と電気通信設備を介しておこなわれる役務の提供にかかる費用に分けられます。

電話代やインターネットの費用が通信費となるのはわかりやすいですが、郵便代なども通信費の勘定科目です。

なぜ、郵便代が通信費となるのか?

郵便代がなぜ通信費

「郵便代がなぜ通信費になるのか?」この点を深掘りしていきたいと思います。

そもそも事業における郵便の目的は相手に何かを伝えるための支出です。

  • 請求書を送って請求金額を伝える
  • 会社のパンフレットを送って会社のことを知ってもらう
  • 研修会の連絡のため研修会の案内を知らせる

逆に、目的が「情報伝達」でない場合には、通信費ではなく別の勘定科目を使うことになります。

例えば、商品を送る送料であれば目的は「売上」のためになり、通信費ではなく「荷造運賃」の勘定科目を使うべきです。

その他にも目的に応じて変わるケースがあるので確認していきましょう。

目的による勘定科目を選択

ここからは「通信費」に似ている支出で目的に応じて別の勘定科目を利用するケースを紹介していきます。

次のようなケースでは「通信費」ではなく、それぞれに記載した勘定科目を使うようにしましょう。

目的勘定科目
サンプルの発送販促費
祝電やお悔やみ交際費又は福利厚生費
切手のないはがき・封筒消耗品費
宣伝目的のFAX広告宣伝費
宣伝目的のテレカ類広告宣伝費
プレゼント目的のテレカ類交際費
ダイレクトメールの切手代広告宣伝費
通信機器のリース料リース料または賃借料

それぞれ例としてあげた勘定科目で経理処理することで、決算で正確な分析がしやすくなります。


通信費と間違いやすい勘定科目

上では目的による勘定科目の選択を紹介していきました。

実は上で紹介した費用は「通信費」として経理処理しても、税金の計算は変わりません。つまり、通信費として経理処理しても特に問題はありません。

決算の時に正確な数字が把握できなかったり、元帳の見た目が悪いだけです。

しかし、これから紹介する支出については勘定科目を間違えると税額に影響を与えるので注意が必要です。

通信費として経理処理不可の支出
  • 収入印紙
  • プライベートの通信費
  • 通信に用いる機器

順に説明していきます。

収入印紙は「租税公課」

領収書や契約書に貼る収入印紙は、郵便局でも購入できますが切手のように「通信費」ではなく「租税公課」の勘定科目を使います。

収入印紙は印紙税という税金になるので、通信費と間違わないようにしましょう。

プライベートの通信費は「事業主貸」

プライベートで使用した通信費を事業の費用に含めてはいけません。

例えば個人事業主が「市・府民税申告書」を郵送する場合などは、個人の住民税の支払いに関する費用のため「事業主貸」として経理処理する必要があります。

ここでも郵送する目的が何なのかを意識して、勘定科目を選択するようにしましょう。

通信に用いる機器は「消耗品費」か「工具器具備品」

通信に用いる機器を購入した場合は、金額に応じて10万円未満なら「消耗品費」、10万円以上なら「工具器具備品」を選択します。

なお、10万円以上であっても、特例を使って消耗品費として経理処理することも可能です。


通信費で注意すべきポイント

ここまでに間違いやすい勘定科目について紹介してきましたが、「通信費」にはそれ以外に注意すべきポイントが4つあります。

通信費で注意すべきポイント
  1. 購入時と期末の処理方法
  2. 経費に計上するタイミング
  3. 携帯代に含まれる通信費以外の費用
  4. 荷造運賃と通信費の違い

では、順に説明していきます。

購入時と期末の処理方法

切手や郵便ハガキをある程度まとめて購入した場合は、実務では次のとおり処理することができます。

購入時の処理

本来、切手や郵便はがきは使用したタイミングで経費として経理処理します。

しかし、ある程度まとめて購入した場合には、実際に使っていなくても購入時に「通信費」として経理処理することができます。

実務においては使用するたびに経費として処理するのは煩雑ですので、購入時に経費として経理処理することが多いです。

期末の処理

購入時に「通信費」として経理処理している場合において、期末に未使用分が多い場合には「貯蔵品」へ振り替えます。

貯蔵品に振り替えた切手等は翌期首に再度「通信費」へ振り替えるのを忘れないようにしましょう。

経費に計上するタイミング

通信費を経費として計上するタイミングには2通りの方法があります。

  • 原則:請求書に記載された月で処理
  • 実務:支払日や振替日に処理

原則としては請求書に記載されている月分として計上すべきです。

しかし、請求書の届くタイミングが遅かったり、手間がかかるため、実務では支払日や振替日に経費として処理することも認められています。

ただし、毎月継続して同じタイミングでの処理をすることが必要です。

携帯代に含まれる通信費以外の費用

携帯代と一緒に請求される「キャリア決済」にも注意が必要になります。

キャリア決済とは、各キャリア(docomo・au・Softbankなど)のID/パスワード認証を利用して、携帯代と合算で商品などの代金を支払うことができる決済サービスです。

最近では様々な支払いに利用できるようになっているので、請求書の内容を確認して仕訳をしなければいけません。

月次損益計算書を確認することで、突出して「通信費」の金額が多くなっているので気付きやすいです。

通信費と荷造運賃の違い

「通信費」とよく似た勘定科目に「荷造運賃」と呼ばれる勘定科目があります。

使い分けの判断基準は、対象が商品や製品であるか否かです。

  • 対象が商品や製品・・・荷造運賃
  • 対象がそれ以外・・・通信費

送るものがカタログや請求書ならば「通信費」を使うようにしましょう。

上記が一般的な経理処理になりますが、次のようなルールで使い分けをしている会社もあります。

  • 大きいものを送る送料・・・荷造運賃
  • 小さいものを送る送料・・・通信費

こちらの使い分けは商品や製品を扱っていない会社でよく使われるルールです。

どちらのルールを使うかは各会社によって判断して頂ければと思いますが、一度決めたルールは継続するようにしましょう。(継続性の原則)


通信費の仕訳例

通信費の仕訳事例

ここまでに説明したように、「通信費」は用途や目的により異なる勘定科目を選択しなければいけません。

ここからは具体的な事例をあげ、その仕訳方法を例示しますので参考にしてみてください。

電話代

携帯電話の通話料金5,000円が普通預金口座から引き落とされた。
携帯電話の通話料は「通信費」として経理処理をおこないます。
借方貸方
通信費5,000普通預金5,000

インターネット代

事務所のインターネット代5,000円が普通預金口座から引き落とされた。
携帯電話の通話料は「通信費」として経理処理をおこないます。
借方貸方
通信費5,000普通預金5,000

切手代・印紙代

郵便局で200円の収入印紙を50枚と84円の切手を50枚を購入し現金で支払った。
収入印紙は「租税公課」として経理処理をおこないます。
借方貸方
通信費4,200現金14,200
租税公課10,000

切手の期末処理

期中に84円の切手200枚を購入し、期末時点において150枚残っていた。
まとまった額の切手を購入した場合は購入時に「通信費」として経理処理をおこないます。ただし、期末時点に残っている文は「貯蔵品」に振り替えなければいけない。
購入時の処理
借方貸方
通信費16,800現金16,800
期末の処理
借方貸方
貯蔵品16,800通信費12,600

切手の無いハガキ・封筒

郵便局で切手の付いていないハガキ10枚(500円)と無地の封筒10枚(1,000円)と切手10枚(840円)を現金で購入した。
切手の無いハガキや封筒の購入費用は「消耗品費」として経理処理をおこないます。
借方貸方
消耗品費500現金2,340
消耗品費1,000
通信費840

郵便代

運送会社に送料15,000円を現金で支払った。(内訳 試供品の発送5,000円・製品の発送代4,000円・請求書の発送3,000円)
試供品の発送は「販促費」、製品の発送は「荷造運賃」、請求書の発送は「通信費」を用いて経理処理をおこないます。
借方貸方
販促費5,000現金12,000
荷造運賃4,000
通信費3,000

プライベートの通帳から支払い

事業用として使用している携帯電話の通話料5,000円が、プライベート用の口座から引き落としされた。
法人の場合は社長に対する「未払金」、個人事業主の場合は「事業主借」として経理処理をおこないます。

法人

借方貸方
通信費5,000未払金100,000

個人

借方貸方
通信費5,000事業主借5,000

キャリア決済

携帯電話の請求額1万円を現金で支払った。(内訳 通話料5,000円・会費5,000円)
携帯電話の請求書の中にキャリア決済の金額がある場合は支出の内容に応じて勘定科目を選択する。
借方貸方
通信費5,000現金10,000
諸会費5,000

まとめ:通信費を解りやすく解説

今回は「通信費」について、経理処理をする上で必要な情報をまとめました。

この記事を読んでもらえれば一通りは理解できる内容になっているかと思いますが、不明点等ありましたらコメントしてください。

最後に「通信費」で注意すべき点をまとめておきます!

通信費のポイント
  1. 通信費に該当する支出は、事業に使う電話料金や郵便代金
  2. 通信費は目的に応じて勘定科目を選ぶ必要がある
  3. 切手等は購入時に経費に計上することができる
  4. 期末に切手等がまとまって残っているときは貯蔵品へ振り替える
  5. 経費に計上するタイミングは「請求月」「支払月」を選択できる
  6. キャリア決済を利用した支出は内容に応じて勘定科目を選択する
  7. 通信費と荷造運賃は対象が何かを確認して勘定科目を選択する

仕訳例は本業で新しい仕訳事例が発生すれば定期的に追加していきます。

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