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「車両費」の勘定科目を仕訳13事例付きで解説!経費となる支出は?

会計の仕事をしていると自動車にからむ支出の経理処理は欠かせません。

テレワークの会社員が増えているとはいえ、自動車にかかる経費がゼロになることはないですし、コロナウィルスの感染リスクを減らすため自動車の使用が増えている会社もあるくらいです。

今回はそんな自動車にかかる経費に使われる勘定科目「車両費」について説明していきます。

この記事はこんな方におすすめ!
  • 車両費について詳しく知りたい方
  • 車両費以外を使った経理処理を知りたい方
  • プライベートでも社用車を利用している方
  • 車両を購入したときの仕訳が分からない方

自動車にかかる経費でどの勘定科目を使えばいいのか迷ったときに、悩みが解決できる記事になっています。

なおべべ
なおべべ
仕訳の事例も12個紹介しているので、あなたの悩み似た事例を探してみてくださいね!

車両費とは?

車両費とは、ガソリン代やオイル交換など車両の使用・維持管理に必要な支払いがあった場合に使われる勘定科目です。

損益計算書では「販売費及び一般管理費」に表示され、税金や保険料を除き消費税の課税区分は「課税」取引となります。

車両費の具体例

具体的には次のような経費に使われる勘定科目です。

  • ETC料金
  • オイル交換
  • オイル代
  • ガソリン代
  • 軽油代(車両)
  • 軽自動車税
  • 高速代料金
  • 自動車保険料
  • 自動車取得税
  • 自動車重量税
  • 自動車税
  • 自賠責保険
  • 車検代
  • 車両修理代
  • 車両整備代
  • 車両定期点検代
  • 車両備品
  • 重油代(車両)
  • 洗車代
  • 任意保険
  • パンク修理代
  • パーツ代 など

自動車などにかかる支払いであれば「車両費」の勘定科目を使うことができます。

使うことができると少しあいまいな表現になってしまったのは、実務では違う勘定科目を選ぶ会社も多いからです。

例えば、ETC料金を「旅費交通費」としたり、ガソリン代を「燃料費」として経理処理する会社もあります。

「車両費」以外の勘定科目を使うことについて、もう少し詳しく見ていきましょう。

その他の勘定科目を使っていいのか?

実は自動車などにかかる費用を「車両費」としなければならないルールはありません。

つまり、経費の対象(自動車)ではなく、経費の目的(税金を払う・車を直す)から勘定科目を選ぶこともできます。

唯一あるルールとしては、一度決めた勘定科目は継続して使い続けなければならないことくらいです。

なおべべ
なおべべ
例えば、ETC料金を先月は「旅費交通費」とし、今月は「車両費」として処理することはできません。

なお、経費の目的から選ぶ場合に使われる勘定科目は次のとおりです。

経費の目的別科目を使う場合
ガソリン代旅費交通費・燃料費
ETC料金旅費交通費
パーツ交換修繕費
修理代修繕費
洗車代雑費
オイル代消耗品費
車両備品消耗品費
車検代支払手数料
自動車税租税公課
軽自動車税租税公課
自動車重量税租税公課
自動車取得税租税公課
自賠責保険保険料
任意保険保険料

車両費を使うメリット・デメリット

自動車などにかかる経費を「車両費」で一括管理するメリットは次のとおりです。

車両費等を使うメリット
  • 車両にかかる経費が一目で把握できる
  • 経理処理の負担が軽くなる

とはいえ、デメリットもあります。

車両費等を使うデメリット
  • 課税・非課税・不課税が混在し、消費税の計算が複雑になる
  • 補助科目を付けないと内訳の把握がしづらい

事業の規模や種類によって「車両費」を使うか、それ以外の勘定科目を使うか決めるのが良いかと思います。

なおべべ
なおべべ
非課税・不課税の費用のみ別科目を使うといった方法も可能です!

車両費の使い分けの一例

車両費を使うか車両費以外の科目を使うかを考える際に基準がないと判断できないかと思います。そこで一例として私が担当しているクライアント様の使い分けをご紹介しておきます。

車両費</span

  • オイル交換
  • オイル代
  • 車検代
  • 車両修理代
  • 車両整備代
  • 車両定期点検代
  • 車両備品
  • 洗車代
  • パンク修理代
  • パーツ代 など
  • ETC料金
  • 高速代料金

車両費・燃料代

  • ガソリン代
  • 軽油代(車両)
  • 重油代(車両)

租税公課

  • 軽自動車税
  • 自動車取得税
  • 自動車重量税
  • 自動車税

保険料

  • 自動車保険料
  • 自賠責保険
  • 任意保険

車両にかかる費用のうち、消費税の取り扱いにより分けてしまう方法です。

決算時の消費税の申告書を作成する場合も楽になります。

なおべべ
なおべべ
あくまで一例なんで、自社にあった使い分けを決めてくださいね!

車両費のポイント

ここからは「車両費」でおさえておくべきポイントを説明していきます。

プライベートの車両を利用した場合

プライベート用の車両を事業で使った場合には、事業で使用した部分のみ「車両費」として経理処理できます。

借方貸方金額摘要
車両費事業主借5,000ガソリン代

なお、事業用の車両をプライベートで使用した場合には、決算においてプライベート部分を除かなければいけません。

借方貸方金額摘要
事業主貸車両費5,000ガソリン代
なおべべ
なおべべ
事業用をプライベートに使用した場合の仕訳が漏れやすいので注意しておきましょう!

按分比率の決め方

事業用とプライベート用に経費を分ける際の按分比率の決め方は次のとおりです。

  • 使用時間割合
  • 走行距離割合 など

例えば、年間で走行距離が1万kmで、プライベートで利用した分が3千kmならば、事業の経費にできるのは70%となります。

上記以外にも合理的な基準であれば大丈夫ですが、以下の点には注意しましょう。

  • 選択した基準を毎期継続して採用すること
  • 根拠となる資料を保管しておくこと

上記の点を注意しておくことで税務署の調査がはいっても安心して対応することができます。

車検時の経理処理

車検を受けた場合は次のような費用がかかります。

  • 車検の基本料金
  • 自動車税などの税金
  • 自賠責保険などの保険料

仕訳では全額「車両費」として処理することも、目的に応じて違う科目で処理することも可能です。

前者の場合の仕訳だと次のようになります。

借方貸方消費税
車両費50,000預金100,000課税
車両費20,000非課税
車両費30,000対象外

免税事業者であれば【車両費/普通預金 10万】と経理処理しても問題ありませんが、課税事業者の場合は消費税の課税区分が異なるため、上のように分けて入力する必要があります。

なお、後者の場合の仕訳なら次の通りです。

借方貸方消費税
車両費50,000普通預金100,000課税
保険料20,000非課税
租税公課30,000対象外

前者の方が仕訳は楽ですが、実務では後者の仕訳をされている会社が多いように感じます。

個人事業主の場合は、家事按分の計算も必要です。

レンタカー代の経理処理

出張時のレンタカー代やレンタカーのガソリン代は、「旅費交通費」として処理するのが一般的です。

「車両費」として処理しても問題はないので、こちらも会社の方針次第になります。

車両購入時の経理処理

車両にかかる支出で「車両費」として処理してはいけないのが購入時です。

車両は固定資産に該当する為、資産の勘定科目である「車両運搬具」として処理しなければいけません。

車両購入時の仕訳は次の通りです。

借方貸方摘要
車両運搬具200預金221車両○○
保険料10自賠責保険他
租税公課自動車税他
支払手数料各種手続き
預け金1リサイクル料

 

こちらの記事では実際の明細書から仕訳処理するまでの手順をご紹介します。

※ただいま執筆中“φ(..〃)カキカキ


車両費の仕訳事例

車両費の仕訳事例

ここからは具体的な事例をあげ、その仕訳方法を例示しますので参考にしてみてください。

勘定科目については、上で紹介した使い分けを元に選択しています。(再度、載せておきます)

車両費

  • オイル交換
  • オイル代
  • 車検代
  • 車両修理代
  • 車両整備代
  • 車両定期点検代
  • 車両備品
  • 洗車代
  • パンク修理代
  • パーツ代 など
  • ETC料金
  • 高速代料金

燃料代・車両費

  • ガソリン代
  • 軽油代(車両)
  • 重油代(車両)

租税公課

  • 軽自動車税
  • 自動車取得税
  • 自動車重量税
  • 自動車税

保険料

  • 自動車保険料
  • 自賠責保険
  • 任意保険

では、仕訳事例を確認していきましょう!

車載備品の仕訳

ETC車載器を取り付けて現金3万円を支払った。
車載備品の購入や取り付けは「車両費」として経理処理をおこないます。
借方車両費50,000
貸方現金50,000

ガソリン代の仕訳

ガソリン代1万円を事業用のクレジットカードで支払った。
ガソリン代の支払いは「燃料費」or「車両費」として経理処理をおこないます。
借方燃料費10,000
貸方未払金10,000
or
借方車両費50,000
貸方未払金50,000

任意保険料の仕訳

任意保険の更新時期がきたので、任意保険料5万円が預金から引き落としされた。
任意保険料の支払いは「保険料」として経理処理をおこないます。
借方保険料50,000
貸方普通預金50,000

レンタカー代の仕訳

従業員が出張した際にレンタカーを借り15,000円を現金で支払った。内訳はレンタカー代が1万円、ガソリン代が5千円であった。
レンタカーを借りた場合の費用は「旅費交通費」として経理処理をおこなう。
借方旅費交通費15,000
貸方現金15,000

修理代の仕訳

車両のタイヤが劣化したため、タイヤを取り換えて3万円を現金で支払った。
車両の修理代にかかる費用は「車両費」として経理処理をおこなう。
借方車両費30,000
貸方現金30,000

プライベート利用分の仕訳

決算で期中に全額経費として計上していたガソリン代にプライベートで使用した分が含まれていたため、プライベート分3万円分を経費から控除した。
「車両費」を減らす経理処理をおこないます。借方は法人と個人事業主で使われる勘定科目が異なります。
法人
借方立替金30,000
貸方車両費30,000
個人事業主
借方事業主貸30,000
貸方車両費30,000

車検時の仕訳(法人)

車両を車検に出し、検査費用50,000円、自動車諸税(重量税他)45,000円、自賠責保険20,000円を現金で支払った。
検査費用は「車両費」、自動車諸税は「租税公課」、自賠責保険は「保険料」で経理処理をおこないます。
借方車両費50,000
貸方車両費115,000
借方租税公課45,000
借方保険料20,000

車検時の仕訳(個人事業主)

上記の仕訳の事業割合が60%であった。
各費用の60%は経費として経理処理をおこなうが、残りの40%は「事業主貸」として経理処理をおこなう。
借方車両費30,000
貸方車両費115,000
借方租税公課27,000
借方保険料12,000
借方事業主貸46,000

リース時の仕訳

営業廻り用としてリースした車両について毎月5万円が預金から引き落とされる。
リースした自動車の費用は「リース料」として経理処理をおこなう。
借方リース料50,000
貸方預金50,000

借上げ時の仕訳

従業員が所有している自動車を借上げ、借上料として3万円を現金で支払った。
借上自動車にかかる借上料は「車両費」として経理処理をおこなう。
借方車両費30,000
貸方車両費30,000

車両購入時の仕訳

営業廻り用の車両を購入した。(内訳:本体代200万円、保険料10万円、自動車税5万円、各種手続費用5万円、リサイクル料1万円)
車両は資産の勘定科目である「車両運搬具」として経理処理をおこなう。
借方車両運搬具200万
貸方車両費221万
借方保険料10万
借方租税公課5万
借方支払手数料5万
借方預け金1万

車両改良時の仕訳

配送用のトラックの荷台に冷凍設備を取り付けた際、50万円かかり「車両費」として処理。決算において車両の価値を高める改良であったと気付いたため資産に振り替えた。
価値を高める改良をおこなった場合には資産勘定の「車両運搬具」で会計処理をおこなう。
借方車両運搬具500,000
貸方車両費500,000

まとめ:「車両費」勘定科目を徹底解説

今回は「車両費」について、経理処理をする上で必要な情報をまとめました。

この記事を読んでもらえれば一通りは理解できる内容になっているかと思いますが、不明点等ありましたらコメントしてください。

最後に「車両費」で注意すべき点をまとめておきます!

通信費のポイント
  1. 車両費に該当する支出は、車両の使用・維持管理にかかる費用
  2. 目的に応じて勘定科目を選ぶ方法もある
  3. 個人事業主の場合はプライベート分の費用は除外する必要がある
  4. 車両費で統一すると車両にかかる費用が一目で把握できる。
  5. 車両費で統一すると経理の負担が減る
  6. 車両費で統一すると課税区分が混在し消費税の計算が複雑になる
  7. 車両費で統一すると補助科目を付けないと内訳の把握がしづらい

勘定科目の理解は会計処理において最低限の知識です。ミスなく会計処理をするため勘定科目の書籍を一冊くらいはお手元に用意しておきましょう!

嬉しいなまけもの
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