「荷造運賃の勘定科目について詳しく知りたい!通信費や消耗品費との違いは何?」といった悩みをお持ちではないでしょうか?
そこで今回は商品や製品の発送をする会社であれば必ず発生する支出「荷造運賃」について解説していきます。
- 荷造運賃とは何か?を知りたい人
- 荷造運賃として経理処理する支出が何か知りたい人
- 通信費や消耗品費、仕入との違いを知りたい人
案外解っているようで理解ができていない勘定科目の一つ「荷造運賃」について詳しく解説していきます。
この記事を読めば荷造運賃の知識を全て理解できるようにまとめました。
参考となる仕訳事例も11事例載せているので参考にしてみてください!
荷造運賃とは?
荷造運賃(にづくりうんちん)とは、商品の発送に伴う運賃や梱包にかかる費用を経理処理する際に使用する勘定科目の一つになります。
「荷造」と「運賃」を分けて考えると理解がしやすいです。
- 荷造:商品や製品の発送準備にかかった梱包代や伝票代
- 運賃:商品や製品を発送する際に運送会社に支払った送料
「荷造運賃=送料」と理解している人も多いかもしれませんが、発送準備にかかった費用も荷造運賃に含まれます。
「荷造運賃」の範囲は、発送準備にかかる費用も含まれるので思っているより広いです。
荷造運賃に該当する支出の例
それでは実際に「荷造運賃」に該当する支出を確認していきましょう。
荷造費用の例
- エアキャップ
- エアクッション
- ガムテープ(荷造用)
- 紙箱
- 木箱
- 結束バンド
- 梱包用材料
- 倉庫代
- 段ボール箱
- 荷札
- パッキングケース
- 発砲スチロール
- ひも(荷造用)
- 包装材料
- 保護資材
- ポリ袋(荷造用) など
発送費用の例
- EMS
- 運送便
- 航空便
- 船舶便
- 宅急便(商品発送用)
- バイク便
- 郵便小包料金(商品発送用)
- 輸出関係手数料 など
なお、「荷造運賃」は販売する側の立場で使用する勘定科目になります。
立場を変えて商品購入の際にかかった運賃などの付随費用は、商品価格と一緒に「仕入高」として経理処理します。
荷造運賃にかかる消費税
荷造運賃の消費税の取り扱いは「課税」取引です。
ただし、海外に商品を発送する際の国際運賃などは「免税」取引となります。
- 航空便(国内⇔国外)
- 船舶便(国内⇔国外)
- 保税地域における諸費用(荷役・運送・保管)
国内取引しか行っていない会社であれば、「課税」取引となります。
荷造運賃と似た勘定科目
ここからは荷造運賃と間違いやすい勘定科目について、使い分ける判断基準もあわせて説明していきます。
荷造運賃と通信費の違い
「荷造運賃」とよく似た勘定科目に「通信費」と呼ばれる勘定科目があります。
使い分けの判断基準は、対象が商品や製品であるか否かです。
- 対象が商品や製品・・・荷造運賃
- 対象がそれ以外・・・通信費
送るものがカタログや請求書ならば「通信費」を使うようにしましょう。
上記が一般的な経理処理になりますが、次のようなルールで使い分けをしている会社もあります。
- 大きいものを送る送料・・・荷造運賃
- 小さいものを送る送料・・・通信費
こちらの使い分けは商品や製品を扱っていない会社でよく使われるルールです。
どちらのルールを使うかは各会社によって判断して頂ければと思いますが、一度決めたルールは継続するようにしましょう。(継続性の原則)
荷造運賃と消耗品費の違い
「通信費」と同様に「荷造運賃」と似ている勘定科目に「消耗品費」と呼ばれる勘定科目があります。
使い分けの判断基準は、対象が商品や製品に限定されているか否かです。
- 商品や製品の発送準備にのみ使用・・・荷造運賃
- 商品や製品の発送準備以外にも使用・・・消耗品費
通信費同様に対象が何かを考えれば使うべき勘定科目は決まります。
商品の発送にのみ使用する段ボールの購入費用であれば「荷造運賃」となり、商品の発送や書類整理用に使用するダンボールの購入費用であれば「消耗品費」として経理処理をおこないます。
仕入時の運送費の経理処理
荷造運賃はあくまで商品を発送する側が使用する勘定科目になります。
つまり、商品を送ってもらう側の立場での運送費は「荷造運賃」の勘定科目は使わず、「仕入高」に含めて経理処理をおこないます。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
仕入高 | 11,000 | 現 金 | 11,000 | 商品代10,000 送料1,000 |
また、固定資産を購入した場合の運賃も上と同様に固定資産の取得価額に含めて経理処理を行いましょう。
荷造運賃の仕訳例
ここまでに説明したように、荷造運賃の中には送料以外に発送準備に要した費用も含まれます。
ここからは具体的な事例をあげ、その仕訳方法を例示しますので参考にしてみてください。
梱包用材料①
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
荷造運賃 | 10,000 | 現 金 | 10,000 |
梱包用材料②
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
荷造運賃 | 10,000 | 未払金 | 10,000 |
梱包用材料③
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
荷造運賃 | 10,000 | 事業主借 | 10,000 |
運送費①
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
荷造運賃 | 5,000 | 現 金 | 5,000 |
運送費②
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
荷造運賃 | 20,000(免税) | 預 金 | 30,000 |
荷造運賃 | 10,000(課税) |
郵便代
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
通信費 | 94 | 現 金 | 94 |
消耗品費
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
消耗品費 | 10,000 | 現 金 | 10,000 |
仕入れ
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
仕入高 | 11,000 | 現 金 | 11,000 |
固定資産
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
工具器具備品 | 103,000 | 現 金 | 103,000 |
決算仕訳
個人
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
事業主貸 | 1,000 | 荷造運賃 | 1,000 |
運賃を売上高に含めて請求
借方 | 貸方 | ||
---|---|---|---|
荷造運賃 | 2,000 | 現 金 | 2,000 |
売掛金 | 32,000 | 売上高 | 32,000 |
まとめ:荷造運賃を解りやすく解説
今回は「荷造運賃」について、経理処理をする上で必要な情報をまとめました。
この記事を読んでもらえれば一通りは理解できる内容になっているかと思いますが、不明点等ありましたらコメントしてください。
最後に「荷造運賃」で注意すべき点をまとめておきます!
- 「荷造運賃」とは、運送費のほか発送準備にかかる費用も含まれる
- 国内送料の消費税は「課税」取引で、国外送料の消費税は「免税」取引である
- 商品や製品の発送にかかる費用は「荷造運賃」で経理処理する
- 商品や製品以外の発送に係る費用は「通信費」で経理処理する
- 商品や製品の発送準備にのみかかる費用は「荷造運賃」で経理処理する
- 商品や製品の発送j準備以外にも使用する資材は「消耗品費」で経理処理する
- 仕入の際の運送費は「仕入高」に含めて経理処理する
仕訳例は本業で新しい仕訳事例が発生すれば定期的に追加していきます。